症例報告

80代 男性 主訴:右肩関節周囲痛


八十肩


『八十肩』なんですが、治りますか? という受診動機でご来院された患者様。

発症時期(いつから?)、発症機転(どんなキッカケで?)ともに不明。

慢性化していて、徐々に悪化しているとお伺い致しました。

その他、基礎疾患など問診にてお聞きした上で、持病に関しても医療機関を受診中とのことでしたので、いわゆる整形外科的な疾患として、本症例にアプローチしました。


寝返りが特に痛い

腕を前に挙げると痛む


日常生活には特に不便していないと仰っしゃられておりましたが、(持続的ではない)夜間痛があり、寝返りの際に右肩に痛みを感じるようでした。

動作においては前方挙上時に疼痛増悪する傾向にありました。


右腕は水平より少し上までしか挙がらない


可動域を検査させて頂きますと、健側(痛くない方)は屈曲160°(ほっぺたに腕がくっつくぐらいまで挙がる)、患側は屈曲120°(目の高さまでは手が挙がる)という状態でした。

その他の可動域(患側)は、伸展(後ろに手を伸ばす)が30°、外転(横から手を挙げる)が80°~135°でした。※測定値に幅があるのは手のひらの向きによって変化するからです。


疼痛消失まで約3ヶ月(週1回の治療)


今回のCASEでは、『寝返りの時の痛みを無くしたい』というご依頼でした。

可動域に関しては70°あれば、衣服の着脱が可能とされており、患者様ご本人も可動域の改善は、ついでに、ぐらいで良いということでした。

この患者様は令和4年2月末に治療開始(週1回のペースで約12回)し、疼痛の消失が確認されたのが5月末でした(治療期間は約3ヶ月)。治療開始から2ヶ月程度経過して、寝返りの時の痛みの強度及び頻度が減少傾向にあり、最後の1ヶ月でほぼ消失しました。



筋拘縮の緩和と運動療法の併用


寝返りの時に生じる疼痛の原因は、大きく分けて

①神経の圧迫

②血流障害

の2点と推測しました。

その際、肩関節内部での強度の炎症や物理的な衝突は除外しました。

肩関節はその動きの多様性複雑性ゆえに、構造的に非常にコンパクトにデザインされています。

軟部組織(筋肉・腱・関節包etc)の変性などにより肩関節周囲のアライメント異常が生じると、神経や血管が通過する部分が非常に狭小化し、疼痛を誘発することが考えられます。

これらの病態は恐らくレントゲンetcで確認することは困難であり、病院でも積極的な治療法が検討できない状況であったと思われます。

長期間の肩関節拘縮状態(疼痛による不動や廃用症候群etc)によって、動作や肩関節の安定性に必要な筋肉が拘縮または萎縮しており、疼痛抑制と併行してそれらも改善する必要がありました。


実際の治療内容


疼痛局所と可動域制限を誘発している軟部組織に対して、鍼灸施術を実施しました。

基本的には座位で施術を行いながら、肩関節の動作や疼痛の変化を確認しながら行います。

施術後に肩関節挙上や結帯動作(後ろに手を回す動作)などを実際にして頂き、改善の兆候を感じて頂きます。

運動療法は自宅でも継続しやすいものを選択して指導させて頂きました。


費用の概算


初診時 4270円

再診以降 2200円

総額 24070円

期間 週一回 約3ヶ月

※運動療法・リハビリの料金は含みません

30代 男性

ロードバイクで走行中に転倒。

痛みが軽減せず3日後に整形外科でレントゲン撮影。

異常なしと診断される。


腱板損傷の疑いもあるため、念のためMRI撮影を1週間後に予約。

検査の結果、上腕骨近位端骨折と診断。



転移は認められず骨膜の損傷も認めないため三角巾にて固定、安静指示。

痛みがあるようなら再診するよう指示される。

腱板損傷の疑いについては特に言及されず、リハビリの計画も特になかった。

その後、痛みは1~2ヶ月ほどして楽になっていったが、腕を前に挙げたり横に挙げようとすると 肩関節に痛みが出るようになる。


■状況

自転車で転倒 肘頭骨折

近隣の病院で手術・リハビリを受け 期間満了になったが 可動域制限制限が残る

肘を中心として肩から手首・手のひらに こわばり感と痛みが残る


担当医師には 『あとは自力でリハビリして自然に治るのを待つしか無い』と言われ

その期間が一年半程度とのこと